通常の医療とは異なる民間療法「ホメオパシー」について、日本学術会議(会長=金沢一郎東大名誉教授)は24日、「科学的な根拠は明確に否定され、荒唐無稽(こうとうむけい)」とし、医療従事者が治療で使わないよう求める会長談話を発表した。
山口市の女児ら死亡例が出たことを重視。通常医療から患者を遠ざける懸念があるとして、一般に広まる前に、医療現場から排除する必要があると判断した。科学者の代表機関が、特定の療法をセフレ否定するのは極めて異例だ。
金沢会長が会見で発表した。日本医師会や日本歯科医師会、日本獣医師会など6団体も談話に賛同し、会員に周知する方針だ。厚生労働省は、普及団体について、医師法や薬事法などの観点から注目し、情報収集を始めた。
会長談話では「ホメオパシーが医療関係者の間で急速にセフレに広がり、養成学校までできていることに強い戸惑いを感じる」とした上で、「治療効果は明確に否定されている」と指摘した。
さらに「今のうちに、医療現場から排除されないと『自然に近い安全で有効な治療』という誤解が広がり、深刻な事態に陥ることが懸念される」として、医療関係者が治療に使うことは厳に慎むよう呼びかけた。一方で、「十分理解した上で、自身のために使用することは個人の自由」としている。
学術会議の唐木英明副会長は「(セフレホメオパシー治療で使うのは)『ただの水』で『副作用はない』のはもちろんだが、科学的に全否定されているものを医療従事者が使えば、患者を通常の医療から遠ざけかねず危険だ。『ホメオパシーは効かない』というセフレメッセージを伝えることが重要と考えた」と説明した。
ホメオパシー とは・・・
マラリアの治療薬であるキニーネを自ら飲んだところマラリアそっくりの症状が出たことが、この理論を考案するきっかけとなったという。ハーネマンの主著『オルガノン』(1810年刊)によると、彼は類似したものは類似したものを治すという「類似の法則」を発見し、ある物質を健康な人に投与した時に起こる症状を治す薬として、その物質そのものが有効であると彼は考えた。さらに、その物質が限りなく薄く希釈される(ハーネマン・セフレの表現を借りれば「物質的でなくなる」)ほど治癒能力を得ることが出来ると考えたのだ。